残念だけど、「睡眠とは?」に対する適当な回答はまだ見つかっていないんだ
眠っている分だけ人生を損してる気がするな
この記事では、「睡眠」について、出来るだけ簡単に分かりやすく解説をします。
睡眠の役割や重要性を再確認し、より良い眠りを手に入れましょう。
睡眠とは?
睡眠の定義
睡眠は、脳が脳自身のために行う”活動”
Wikipediaでは、「睡眠」について次のように説明されています。
睡眠(すいみん、羅: somnus、仏: sommeil、英: sleep)とは、眠ること、すなわち、周期的に繰り返す、意識を喪失する生理的な状態のことである。ねむりとも言う。体の動きが止まり、外的刺激に対する反応が低下して意識も失われているが、簡単に目覚める状態のことをこう呼んでいる。
ここにもあるように、睡眠は意識を失った状態です。
具体的には、脳の温度を低下させている、すなわちクールダウンさせているのが睡眠です。
パソコンのCPUや車のエンジンなどと似ていますね。
クールダウンの指示を行っているのは脳です。
つまり睡眠は、脳が脳自身のために行っている、クールダウンという”活動”です。
睡眠が活動の1つであるという考え方はとても重要です。
例えば、意識が無くなると言えば、睡眠の他に失神を思い浮かべることができます。
これは、脳の血液の量が何らかの原因で不足することで発生します。
脳が意図的に起こしているわけではないという点で、睡眠とは異なります。
その他には、死も意識の無い状態の1つとして挙げられます。
死は、心肺の機能が失われることで、活動が不可能になった状態です。
失神と同様に、脳が意図的に行っているものではありません。
一方、死は覚醒状態に戻ることができないという点で、睡眠や失神とは大きく異なります。
結局睡眠は、意識のない状態の中で、唯一脳が能動的に活動を行っている状態だと言えます。
睡眠の役割
- 脳と身体の休息
- 翌日の活動のための準備
- 記憶の整理
意識を切り離して行うという特徴をもった睡眠には、どのような役割があるのでしょうか?
睡眠の役割は、大きく3つに分けられます。
まず1つ目に、脳と身体を休める・回復させることが挙げられます。
1日の活動を行うことで、脳や身体には疲労が蓄積します。
身体の疲労に関しては、例えば筋トレを想像すると分かりやすいのではないでしょうか?
筋トレを行うことで、筋肉は疲労します。
ですが、筋肉は睡眠を取ることで回復し、この繰り返しで筋力は向上していきますよね。
これは脳も同様です。
人間の脳は高性能です。
脳は起きている間ずっと稼働しているため、1日の終わりには疲労してしまいます。
睡眠を取り回復させることで、脳の機能は高まっていきます。
続いて2つ目に、翌日の活動のための準備を行うことが挙げられます。
脳と身体の疲労を回復させる、すなわちマイナスをゼロに戻すだけでは不十分です。
翌日の活動を活発に行うためには、プラスの状態にすることが欠かせません。
それが、翌日の活動のための準備を行うということです。
- 眠ったことで、疲労はある程度回復した
- けれど気持ちよく目覚められない、元気に活動できない
このように感じることはありませんか?
それは、翌日の活動のための準備が不十分だったのかもしれません。
エネルギーのチャージも睡眠の重要な役割です。
そして3つ目に、記憶の整理が挙げられます。
これは人間に特有な睡眠の役割かもしれません。
勉強した後は寝ないと記憶が定着しないと言われたことはありませんか?
全くその通りで、睡眠は記憶を整理する役割も担っています。
日々の生活の中には、多くの情報が溢れています。
見たり聞いたりしたそれらの情報は、そのままでは脳内にごちゃごちゃの状態です。
睡眠中に情報の分類や取捨選択を行うことで、必要なときに必要な情報が取り出せるようなしになります。
睡眠の必要性
寝ない動物はいない、すなわち睡眠は生きていくために必要不可欠なもの
- 睡眠に重要な役割があることは分かった
- でも、本当に睡眠は必要なものなのか
このような疑問を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
結論を先に言うと、睡眠は生きていくために必要不可欠なものです。
野生の動物たちで考えてみましょう。
野生の動物たちにとって、睡眠は完全に無防備な状態です。
ですから動物たちは、それぞれ工夫を凝らして睡眠を行っています。
例えば、キリンは1日の睡眠時間をわずか20分ほどにまで減らすことに成功しています。
またイルカは左右の脳を半分ずつ順番に休ませることで、24時間泳ぎ続けることができます。
さらには群れで生活し、交代で眠る動物たちもいます。
ところで、全く眠らない動物はいません。
睡眠はとても危険な状態ですから、「眠らない」ことが身を守る最善の策のはずです。
しかし、動物たちはそのようには進化しませんでした。
命の危険がありながらも、睡眠を行うことを選択しました。
これこそが、睡眠が生きていくために必要不可欠なものであることの最大の証拠です。
時間について
眠らなかったらどうなる?
一言で言えば、死にます
それでは、もし睡眠時間を0にして生活を送ったらどうなるのか?
気になる方も多いはずです。
実際に断眠実験というものが行われました。
実験方法は簡単です。
眠りに落ちそうになったら刺激を与えて再び覚醒させる。
これを永遠に繰り返すだけです。
マウスを使用した実験では、ほとんどのマウスが2週間ほどで死んでしまったようです。
長くても1か月くらいで、それ以上生き続けることのできたマウスは1匹もいませんでした。
また人間では、最長で11日間眠らずに生きられたという報告があります。
しかし、あくまで「生きられた」であり、眠らなくても通常の生活を送ることができたわけではありません。
- 集中力や記憶力が低下した
- 覚が見えるようになった
- ろれつが回らなくなった
このような様々な障害が表れたそうです。
もしかしたら、徹夜をしたことのある方や、どれだけ眠らずにいられるか挑戦したことのある方がいらっしゃるかもしれません。
頑張って眠らないように耐えていても、最終的には強い眠気に負け、眠りに落ちてしまいませんでしたか?
睡眠を拒否し続けるほど、睡眠欲は高まります。
これは身体が命の危険を感じているからです。
眠気をどんどん増やし、何としてでも眠りにつかせようとしているのです。
分かりやすく言えば、睡眠を我慢することは呼吸を我慢していることと同じです。
いくら我慢を続けていても、結果的には本能に負けてしまいます。
このような点でも、睡眠は必要不可欠なものであることが分かりますね。
なぜ毎日何時間も眠るの?
人間の脳は高性能なので、その分しっかりと休ませてあげることが必要です
人間は人生の約3分の1の時間を睡眠に費やしています。
キリンの1日の睡眠時間がたった20分であることを考えると、とても長いですね。
なぜこれだけの睡眠時間が必要なのでしょうか?
それは一言で言えば、人間の脳は高性能だからです。
人間は思考力や記憶力など、他の動物には無い多くの能力を獲得しています。
しかしそれと引き換えに、発達した脳を維持するためには、しっかりとしたメンテナンスが必要となりました。
そのため睡眠時間はどうしても長くなってしまいます。
また、人間は敵に襲われることがなく安心して眠れることも、睡眠時間が長くなった要因として考えられます。
敵を恐れながら眠っている動物たちは、本来必要な睡眠時間をきちんと確保することができていません。
実際、敵に襲われることのない動物園のキリンたちは、野生のキリンたちよりも睡眠時間が長いようです。
人間から見れば、20分しか眠らないキリンは羨ましく感じるかもしれません。
しかしキリンにしてみれば、何とか生きられる最低限の睡眠時間でやりくりしているだけなのかもしれません。
むしろ人間が多くの時間を睡眠に使えていることを、羨ましく思っているかもしれませんよ。
睡眠時間と寿命の関係
寝すぎは、寝不足と同じくらい良くありません
人間の睡眠時間が7~8時間ほど必要なことは、寿命との関係からも明らかになっています。
【睡眠時間と死亡の危険率】
出典:睡眠学入門ハンドブック 睡眠の基礎知識
こちらのグラフは、睡眠時間と死亡の危険率の関係を表したものです。
よく睡眠不足は寿命を縮めると言われますが、このグラフを見ると、一目瞭然ですね。
睡眠時間が短ければ、寿命も短くなる傾向にあります。
ですがもう1つ注目していただきたいのが、寝すぎも寝不足と同じくらい良くないということです。
一見不思議にも思えますが、睡眠は時間だけではなく、質も重要であることを考えると納得できます。
というのも、人間の場合は7~8時間を睡眠に割くとお話ししましたが、逆に言えば7~8時間あれば十分です。
それ以上の長時間眠っているということは、それだけ睡眠の質が悪いことを意味しています。
睡眠の質が悪い分、時間で補って身体を回復させているだけなのです。
質の良い7時間睡眠を取った人よりも寿命が短くなってしまうことは、言うまでもありません。
言い換えれば、睡眠の質が高ければ7~8時間ほどで目覚めるはずなのです。
睡眠時間と寿命の関係という話でしたが、健康的な人生を送るためには、量と質の両面で十分な睡眠を得ることが大切だと言えます。
睡眠の種類
【睡眠周期の概略】
一言で睡眠と言っても、睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という2種類に分けられます。
レム睡眠
外から見ると寝ているけれど、脳は起きている時のように活発に活動している不思議な睡眠です。
まずはレム睡眠から解説します。
そもそも睡眠の深さは、一晩中に繰り返し深くなったり浅くなったりしています。
その中で、最も浅くなったタイミングで表れるのがレム睡眠です。
レム睡眠中は、覚醒時ととても似た脳波が測定されることが特徴的です。
身体は寝ていますが、脳は活発に活動を続けているのです。
脳が活発に働いているのは、記憶の整理をしているからではないかと推測されています。
また整理中の記憶が視覚を刺激し、映像として表れているものが夢ではないかと言われています。
なお覚醒状態に近い睡眠と言っても、レム睡眠中は身体への信号は遮断されています。
外から見ると、ほとんど寝返りも打たないような状態です。
ノンレム睡眠
脳や身体を休めている、重要な睡眠です
もう一方のノンレム睡眠について解説します。
名前からも想像できますが、レム睡眠ではない睡眠がノンレム睡眠です。
ノンレム睡眠は眠りの深さに応じて、さらにstage1~stage4に分類できます。
主な役割は、1日働いた脳を休ませることです。
もちろん身体の休息も行われています。
ノンレム睡眠の時間がしっかり取られることで、身体は回復し、翌日も元気に活動することができます。
徐波睡眠
睡眠全体の質を左右する、重要な鍵となる睡眠です
ノンレム睡眠の中でも深い睡眠であるstage3とstage4の睡眠を、特に徐波睡眠と呼びます。
先ほどの画像をもう一度掲載しますが、徐波睡眠は睡眠の前半に多く表れます。
【睡眠周期の概略】
徐波睡眠の時間が長いということは、深い睡眠が取れている、すなわち熟睡出来ているということを意味します。
画像からも分かるように回数を重ねるごとに眠りは浅くなっていきます。
そのため、最初の徐波睡眠でどれだけ深い眠りが得られるかが、睡眠全体の質を左右する重要な要素であると言えます。
まとめ
睡眠に関しては、まだ解明されていない事柄も多くあります。
睡眠の質を高めるために睡眠について勉強することは大切ですが、睡眠の不思議について悩みすぎて睡眠不足にならないように、くれぐれもご注意下さいね。
睡眠の時間や種類に関しての話もしましたが、「朝気持ちよく起きられた」という感覚が得られることが重要です。
最適な睡眠時間には個人差もありますから、この感覚を大切にして人生を充実させましょう。