もちろんそれもあるけど、それだけじゃないんだ
ほかにも重要な役割があるよ
毎日必ず行っている睡眠。
疲れたら寝て、起きたら元気になるくらいにしか考えたことが無かった方も多いのではないでしょうか?
実は睡眠中に行われていることは身体の休息だけに留まりません。
脳の情報整理や病気の予防など、睡眠には健康的な生活をサポートする重要な役割があります。
睡眠は活動が停止している時間ではありません。
睡眠という活動が無ければ、当たり前のような日常生活は送れません。
細かいものまで含めると睡眠に影響されることがらは無数にありますが、この記事では睡眠の役割を大きく5つに分けて紹介いたします。
結局睡眠中には何がおこなわれているのかを知ることで、毎日訪れる睡眠という時間の捉え方が変わるはずです。
1.休息
最もスタンダードな睡眠の役割と言えば、身体と脳の休息です。
人間には体温や心臓の鼓動などをコントロールする自律神経が存在しています。
その自律神経は交感神経と副交感神経から成っています。
昼間の活動中は交感神経が優位に働いているのですが、夜になると副交感神経が優位に切り替わることで、身体や脳が休まる仕組みになっています。
体温が少し低下したり、分かりやすいものでは呼吸がゆったり大きくなっているのは、副交感神経が優位である証拠です。
体温が下がりすぎたり呼吸が止まると死んでしまいますから、たとえ睡眠中であってもこれらの動作を常に制御しておくことは欠かせません。
しかし睡眠という活動においては身体のメンテナンスがメインとなるため、生命を維持できれば、それ以上の高パフォーマンスを発揮する必要はないのです。
睡眠時には副交感神経が優位になることで、効率よく休息という活動を行っているのですね。
逆に言えば、質の高い睡眠を得るためには自律神経が正しく機能していることが必須となります。
寝ても疲れが取れないとお悩みの場合には、この自律神経の乱れが疑われます。
こちらの記事を参考にしてみてください。
2.記憶の整理
毎日日常生活を営んでいる中で、脳には大量の情報が入ってきています。
光・音・感触・匂い・味を五官で感じることで、物体の動作や機能などの情報を得ています。
特に視覚から得られる情報は膨大ですよね。
睡眠中にはそれら膨大な情報の整理をするという重要な役割があります。
学生の頃、「暗記は寝ないと定着しない」と一度くらいは聞いたことがありませんか?
勉強直後は書いたり読んだりした情報は全て頭の中に存在しています。
しかし存在はしていてもどこにあるのか、関連するワードは何なのか、そもそも存在しているかの記憶も曖昧です。
そこで睡眠中にこれらの分類やリンク付けを行い、いつでも情報が引き出せるようにするのです。
睡眠中の記憶の整理には、大きく分けて3つの整理があります。
1つ目は今お話ししたような”暗記”や、”今日公園で友達と会った”というようなエピソードの記憶です。
2つ目はスポーツや料理などの身体で覚えることがらの記憶です。
言葉や理屈で説明できないようなものの整理も、睡眠中にはちゃんと行われているのです。
歌の歌い方や楽器の吹き方なんかも、理屈などもありますが、結局はこの身体で覚えるということが重要であったりします。
スポーツを上達させるためにはしっかりとした睡眠が大切、トップアスリートたちはみな睡眠にこだわっているのです。
そして3つ目は忘れるということです。
もしかしたらこれが一番重要かもしれません。
受験生にはそんな機能いらないと言われてしまうかもしれませんが、人間は忘れられることで健康に過ごせているのです。
日々の生活の中で入ってくる情報はいいものばかりではありません。
人と関わっていれば、いやな思いをしたり、ストレスを抱えたりすることもありますよね。
それらを上手に処理する、すなわち忘れることができることで、毎日の生活がスムーズに回っていくのです。
3.ホルモンの制御
言葉は聞いたことがあるけれど、結局体内でどんな役割を果たしているものなのかいまいち分かっていないという方も多いかもしれません。
ホルモンの役割は、ざっくりと言うと健康的な身体を作りそれを維持することです。
毎日食事や睡眠をしっかりととっていれば健康的な日々が遅れているのは、このホルモンの働きのおかげなのです。
ホルモンの分泌は大きく分けて2つのきっかけで制御されています。
1つは概日リズムです。
概日リズムまたはサーカディアンリズムという言葉を初めて聞くかもしれませんね。
簡単に言えば昼・夜のリズムで、時差ボケはこのリズムが狂ってしまった状態です。
ホルモンの中には、この概日リズムに基づいて、毎日特定の時間帯になったら分泌されるものがあります。
もう1つは睡眠覚醒リズムです。
残りのホルモンは、昼・夜ということに左右されるのではなく、寝る・起きるということに左右されて分泌が制御されています。
睡眠覚醒リズムで制御されているホルモンを1つ取り上げてみましょう。
成長ホルモンってご存知ですか?
「子供の身長を伸ばすために欠かせないホルモンでしょ」とご存知の方も多くいらっしゃるかもしれませんね。
その通りです。
「寝る子は育つ」の証拠になるホルモンで、就寝後の最初の深い眠りの時に最も多く分泌されることが知られています。
確かに人生の中では子供の頃に最も多く分泌され身長を伸ばす役割のある成長ホルモンですが、身長の伸びが止まった大人にはもう不要なホルモン、というわけではありません。
成長ホルモンには大人にも不可欠な3つの役割があります。
1つ目はしっかりとした筋肉を作ることです。
たとえスポーツ選手でなくても、良い姿勢を維持したり寝たきりにならないための足腰をつくるうえで、しっかりとした筋肉は欠かせません。
筋肉が弱ってしまうと、健康的な日常生活も送れなくなってしまいます。
2つ目はしっかりとした骨を作ることです。
これも筋肉と同様に無くてはならないものです。
つまづき転倒しただけで折れてしまうようなもろい骨では身体を維持していられません。
3つ目は代謝の促進です。
代謝とは、必要なエネルギーの生成や不要な物質の分解などの、体内で行われている生化学反応のことです。
代謝という働きのおかげで活発に活動出来たり、肥満を防げていたりするのです。
ホルモンは健康的な身体を維持し、生活習慣病を防ぎ改善するために不可欠なものなのです。
4.免疫力の向上
ホルモンのバランスが整うことで、免疫力がUPします。
というのも、免疫の働きはホルモンバランスが整っていることで初めてその能力が発揮されます。
風邪をひいた時にはとりあえず寝ていれば回復するというのは、あながち間違いではありません。
睡眠には、身体の休息と合わせて、免疫細胞たちの働きを正す役割があるのです。
また睡眠が免疫細胞たちの働きを促進させるということは、次のようなことが言えます。
それは、インフルエンザなどの予防接種のワクチンを打ったとしても、睡眠をしっかりととらなければその効果が発揮されない、ということです。
予防接種のワクチンは、そのウイルスや病原体の模型を免疫細胞たちに渡して、「こんなのがやってきたらやっつけてね」と教えてあげるためのものです。
ですから体内に突然ポンと模型を置いておくだけではいけません。
睡眠をしっかりと取り、免疫細胞たちにウイルスや病原体を記憶、そしていざとなったときには出撃してもらえるように準備しておかなければなりません。
5.脳の老廃物の除去
最後に脳の老廃物の除去についてです。
1日活動を続けていると、脳には不要となったごみが蓄積していってしまいます。
活発に脳を働かせたということなのですが、努力の証として記念に保存しておくわけにはいきません。
この脳の老廃物は覚醒中にも常に除去は行われていますが、他にももっと優先的にすべきことはたくさんあり、とても追いつけるものではありません。
ですから脳を休めている睡眠中にまとまったメンテナンスが必要となります。
ちゃんと睡眠をとり除去しなければ、蓄積した脳の老廃物は認知症やアルツハイマー病を引き起こすリスクを高めるとも言われています。
まとめ
まだ若いから多少睡眠を犠牲にしても気合でなんとかなると睡眠を軽視していた方、睡眠の重要性に気づいていただけましたでしょうか?
これまで睡眠時間を削ったことで失ってしまったものを取り戻すことはできませんが、これからの生活を変えることは健康的な身体を長く保つことに繋がります。
あなたも今日からの睡眠習慣を見直してみましょう。