外の空気をそのまま体内に取り込むと、身体に害を及ぼすリスクが高まる
だから鼻呼吸すべきと言われているんだ
普段何気なく口で呼吸をしてしまっている方。
実はこれ、とても危険な呼吸法なのです。
でも口呼吸は誰でも直すことができるので、ご安心ください。
というのも、口呼吸をしてしまう理由はとても簡単です。
それは鼻呼吸が難しい、または口の方が呼吸しやすい状態になっているからです。
すなわち鼻で自然に呼吸ができれば、口呼吸は解消されます。
この記事では、初めにそもそもなぜ口呼吸がいけないのかについてお話しします。
続いて口呼吸をしてしまう原因と解決策について考察します。
鼻は食べたりしゃべったりするために発達した口とは異なり、呼吸に特化したパーツです。
鼻呼吸を取り戻すことで、本来の機能を最大限に活用させましょう。
目次
口呼吸のデメリット
風邪をひきやすくなる
突然ですが、鼻水や鼻毛がなぜあるかご存知ですか?
どちらもあまり良いイメージはなく、そんなもの無ければいいのにと感じたこともあるかもしれません。
実は、これらには身体を細菌やウイルスから守る重要な役割があるのです。
外の空気には埃や塵、細菌やウイルスなどが含まれています。
鼻から空気を取り込むとき、入り口付近の鼻毛はホコリや塵をブロックする役割を持っています。
そして鼻水は細菌やウイルスを絡め取る役割をしています。
こうして体内にはきれいな空気が届けられるのです。
余談ですが、風邪をひいた時に鼻水が多く出るのは、これ以上細菌やウイルスを侵入させないようにフィルターを強化しているということです。
鼻水を抑えるだけの薬をむやみに服用することには気を付けた方が良いかもしれませんね。
続いて口呼吸を考えてみましょう。
口内にはさきほどのフィルターに相当する機能が全く存在していません。
従って外の空気はそのまま体内に取り込まれることになります。
もちろん埃もウイルスもお構いなしです。
これが口呼吸の1つ目のデメリット、風邪をひきやすくなるということです。
なお鼻の役割はフィルターだけではありません。
鼻には空気を温め、湿度を上げる役割もあります。
これは肺に暖かい空気が届けるためです。
もしも口呼吸で冷たい空気しか届かなければ、身体は冷え免疫力が低下してしまいます。
加えて肺への通り道、喉の乾燥も引き起こします。
口内環境が悪くなる
口呼吸は肺や喉を乾燥させると今お話ししたところですが、さらには口自身も乾燥してしまいます。
通常、口内は唾液の分泌により潤されています。
実は唾液には口内環境を正常に保つ様々な働きがあります。
例をいくつか挙げましょう。
歯や歯間に付着した食べかすや歯垢を洗い流してくれる自浄作用。
飲食によって酸性に傾いた口内のpHを中和させてもとに戻し虫歯を防いでくれる緩衝作用。
細菌の繁殖を抑えてくれる殺菌作用。
口呼吸をしていると、唾液は蒸発し口内が乾燥します。
するとこれらの機能が失われてしまいます。
つまり虫歯や歯周病のリスクが高まったり、口臭が強くなったりします。
なお唇の荒れの原因も口呼吸による唇の乾燥が引き起こしていることがあります。
部屋の湿度管理に気を配っていても症状が改善しない原因はここにあるのかもしれませんよ。
第一印象が良くない
口呼吸の習慣は、他人への印象にも悪影響を与える恐れがあります。
口呼吸をしているということは、すなわち口をぽかんと開けているということですよね。
口の開いている人って、失礼ですがなんだか頭が悪そうに見えたり、集中力が無いように見えたりしませんか?
もちろん実際は必ずしもそうとは限りません。
でも勝手にそんな風に思われてしまっては嫌ですよね。
また普段から口を開けていると、口を閉じる筋肉が衰えてしまいます。
すると口元がたるんだり、ほうれい線が表れたりしやすくなります。
つまり年齢よりも老けて見えてしまう恐れがあるのです。
若々しくいるために顔の運動を行ったりマッサージ器具を使用したりするのも良いですが、その前に鼻呼吸に切り替え口を閉じる習慣をつけましょう。
口を閉じていること、それ自体が運動になっているのです。
口呼吸をしてしまう原因
鼻づまり
口呼吸をしてしまう原因で最も大きなものが鼻づまりだと言われています。
アレルギー性鼻炎や花粉症などの鼻に関する病気を持っている方は要注意です。
鼻が詰まってしまうと、鼻呼吸が苦しくなります。
そうなると無意識のうちに口での呼吸に切り替わってしまいます。
口を閉じる筋肉の衰え
口の筋肉が衰えていると、口を閉じることが辛くなります。
もちろん口を開閉とは無関係に鼻呼吸は可能です。
ですが日常的に口が開いていると、口呼吸が習慣になってしまいやすいようです。
口の筋肉が衰える原因は大きく2つに分けられます。
1つは老化、もう1つは筋肉を使わないことです。
老化による筋肉の衰えには逆らえない部分もあります。
一方で口の筋肉を使わないとはどういうことでしょうか?
食事での咀嚼回数の減少や、SNS上での会話により実際に会って話す機会が減ったなどにより、現代人は口を動かす機会が減少しています。
咀嚼回数の減少に関しては、簡易的な食べ物や柔らかい食べ物を多く食べていることが主な原因となります。
また食事の時間を短く済ませる傾向も後押しとなっています。
「噛む」ことは口の筋肉を鍛えるだけではありません。
実は脳の刺激や睡眠の質の向上など、多くの重要な役割を担っています。
姿勢が悪い
姿勢と口呼吸なんて一見何の関係も無いように感じられたかもしれません。
姿勢が悪いと、肺や気道が狭められ、体内に十分な酸素を取り込めません。
すると無意識のうちにより多くの空気を吸い込める口を使って呼吸をするようになってしまうのです。
鼻よりも口の方が入口が広く、楽に多くの空気を取り込めるのは当たり前ですよね。
例えば全力で走り息切れした時も、口で呼吸をしています。
でも先ほどお話ししたように、口にはなんでもかんでも取り込んでしまうというデメリットがあります。
また悪い姿勢は呼吸が浅くなりやすいからも、改善を考えた方が良いでしょう。
口呼吸をやめるには?
鼻詰まりを直す
鼻が詰まっていては、いくら鼻呼吸をしようと心がけがあっても直せません。
鼻づまりは、詰まっている側と反対側の脇の下を刺激することで解消すると言われています。
これは脇の下の神経が反対側の鼻の穴を開く神経と繋がっているからです。
手や物を挟むだけで簡単に実践できます。
しかし注意していただきたいのは、これはあくまで一時的なものであるということです。
根本的に口呼吸を直すためには、鼻詰まりの原因を突き止める必要があります。
最も確実なのは、耳鼻科や歯科へ行き、医師に相談することです。
鼻炎や花粉症などの病気が原因であれば、適切な薬を処方してもらえることでしょう。
なお病気にならないようにするためには、部屋などの環境を見直すことも重要です。
換気が悪かったり湿度が低すぎたりしていませんか?
またアレルギー物質を取り込まないためには、マスクを着用することも効果的です。
口を閉じることを意識する
鼻づまりなど、何らかの原因で一度口呼吸を経験すると、その鼻づまりなどが直った後も引き続き口呼吸を続けてしまうことがあります。
これは先ほどお話ししたように、口呼吸の方が楽に多くの空気を取り込めるからです。
口呼吸の癖や習慣を直すためには、意識的に鼻呼吸をすることが欠かせません。
日常生活の中で口呼吸をしてしまっていることに気づいたら、その度に鼻呼吸に戻す。
プライベートな環境では口にテープを張り強制的に口を閉じる。
その他口呼吸を防止するグッズを活用する。
このように意識する回数や時間を増やしていくことで、自然と解消することが可能です。
あいうべ体操を実践
最後に「あいうべ体操」というものをご紹介します。
あいうべ体操は口呼吸を鼻呼吸に改善するための口の体操です。
誰でも簡単にできることが特徴で、テレビで紹介されたこともあります。
文章で説明するよりも、こちらの映像を観ていただいた方が理解は速いでしょう。
内容としては、本当に「あ」「い」「う」「べ」を繰り返すだけです。
隙間時間を見つけて習慣にしてみてはいかがでしょうか?
まとめ
実は全ての動物の中で、口で呼吸ができるのは人間だけだと言われています。
人間に近い猿やゴリラでも口呼吸はできません。
一説では人間の持つ「言語を喋る能力」と関連があると言われています。
人間のみが得た口呼吸と言う能力ですが、残念ながら呼吸の選択肢が増えてラッキーとはいかなかったようです。
鼻には空気をきれいにしてくれる高機能なフィルターが付いていますから、ちゃんと使ってあげましょう。