睡眠と覚醒に関してはどっちも重要!
バランスよく改善していこう
あなたの日々の睡眠の質はいかがですか?
あなたの日々の覚醒(起きている時間帯)の質はいかがですか?
この2つの質問の答えに極端に違いのある方はなかなかいらっしゃらないと思います。
というのも睡眠と覚醒は2つで1つ!
睡眠の質が悪ければ覚醒に悪影響を与え、覚醒の質が悪ければ睡眠に悪影響を与えるのです。
具体例を挙げてみましょう。
夜更かしをして睡眠時間が3時間しか取れなかった。
そんな状態では次の日のコンディションは整いませんね。
また寝る直前までスマホで激しいゲームをしていた。
興奮冷めやらぬ状態では熟睡なんてできませんね。
このように睡眠と覚醒は密接に関わっています。
つまりどちらかのリズムを崩すと、とたんに悪循環に陥ってしまいます。
でもこれを逆に捉えると、片方の質が高まれば相乗効果でもう片方の質も高まります。
それは日常生活全体の質が高まっていくことを意味します。
自転車で右足のペダルだけを漕いで進むことは出来ないように、片方のみを意識していては改善しません。
両方をバランスよく高めていくことで、人生が上手く回りだすのです。
目次
睡眠が覚醒に与える影響
睡眠には覚醒に対してどのような効果をもたらしてくれる役割があるのか見ていきましょう。
休息
睡眠と言えばまずは休息の役割が考えられますよね。
休息には「身体の休息」と「脳の休息」の2つがあります。
どちらも覚醒に影響を与える重要なものです。
身体の休息
身体の休息には疲労回復の役割があります。
1日酷使した身体はしっかりと休ませてあげて、明日の朝をまた最高の状態で迎えられるようにメンテナンスしてあげる必要があります。
今日は1歩も家から出なかったから疲れてない??
それはそれで問題ですが、たとえそうだとしても身体は疲労しています。
というのも地球には重力という強い力が働いています。
人間の頭の重さは約5~6kg。
ボウリングの球と同じくらいの重さであると言われています。
それを覚醒中ずっと支えていた身体。
頭を支える役割は枕にバトンタッチして、休息させる重要性を感じていただけましたか
脳の休息
脳の休息には情報の整理の役割があります。
PCに詳しい方向けに例えを出すと、ドライブの最適化に近い作業を行っているのです。
1日生活をしていると、様々な情報が脳に入ってきます。
特に目からの情報は膨大です。
このサイトを見ているあなたにも、文章の内容という情報が送られています。
これらの情報の全てを蓄えていては、脳はすぐにパンクしてしまいます。
そこで毎日の睡眠の中で情報の取捨選択の作業が必要なのです。
テスト勉強は一夜漬けよりも、睡眠をとった方が良いと聞いたことはありませんか?
一夜漬けでは暗記した内容は確かに頭の中にある。
でも得た情報を整理できていないせいで、なかなか目的の情報に辿り着けません。
テスト終了後に友達と答え合わせをしたときに、「確かに見たけど思い出せなかったー」となるわけです。
一方睡眠を取れば、確かに寝た分知識を蓄えられる量は減ってしまいます。
しかし絞って確認した知識、それはちゃんと整理され、テストでは実力がちゃんと発揮されるのです。
また脳の休息による情報の整理は、知識を定着させるだけではありません。
情報を捨てることも重要なことです。
情報を捨てるという言い方をすると、もったいないような印象を受けるかもしれません。
でも脳に入ってくる情報は良いものばかりではありませんよね。
「いやなことを忘れられる能力」
これってとても重要なことです。
寝て気分転換をするって方もいらっしゃるかもしれませんが、まさにこれですね。
脳の休息でいやなことを忘れられるおかげで、毎日楽しく生活を送ることができているのです。
パフォーマンスUP
このように身体と脳の休息をしっかりと行いコンディションを整えることで、明日のパフォーマンスの向上が期待できます。
具体的に集中力UPと思考力UPについてお話しします。
【集中力UP】
休息がきちんと行われていると、物事に集中することができます。
逆の場合を考えると分かりやすいですが、目を開けているのもやっと、立っているのもやっとの身体で何かを集中して行うことなんて不可能です。
集中には多くのエネルギーを消費しますが、それだけのエネルギーを供給できるコンディションの良い身体は睡眠によって得られます。
【思考力UP】
思考は脳をフル回転させる行動です。
大きなエネルギーはもちろん、それを脳に届けるためのパイプラインの整備も重要ですね。
また思考の効率を上げるためには脳の情報整理も欠かせません。
蓄えた知識を思い通りに引き出したり組み合わせたり更新したり、それを高速に行える環境が整っている必要があります。
これらのパフォーマンスを上げるためには、やはり睡眠による身体と脳の休息が重要な役割を果たします。
免疫
睡眠の役割は休息だけではありません。
免疫力UP
免疫力UPも睡眠の重要な役割の1つです。
身体に悪い物質が侵入してきたとき、免疫細胞が戦ってくれているおかげで病気にならずに健康な日々を過ごせているのはご存知でしょうか?
でもこの免疫細胞の体力も無限にあるわけではありません。
睡眠をしっかりととることで免疫細胞たちにも休息を与えてあげ、緊急事態が起きた時にはしっかりとやっつけてもらう必要があります。
また免疫細胞たちはどうやって敵と味方を見分けているのでしょうか?
元気だからと言って何でもかんでもやっつけていたら、人間にとって必要な物質までやられてしまうかもしれません。
これを防ぐために、免疫細胞たちは人間と同じように「悪さをする敵の記憶」をしているのですが、記憶と言えば…。
そうです、情報を整理し記憶するためには睡眠が必要です。
風邪は寝て直せ
「風邪は寝たら直る」と聞いたことはありませんか?
実際に体調の悪い時、風邪薬を飲んでぐっとひと眠りしたら直ったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
それは睡眠により無駄なエネルギーの消費を抑えたことで、風邪を退治するための免疫細胞たちに十分なエネルギーを与えてあげることができたからです。
また病気の予防・改善にも睡眠は重要な役割を担っています。
「寝る子は育つ」という言葉を聞いたことはありますか?
これは成長ホルモンが睡眠中に多く分泌されることからそう言われるようになったのですが、この成長ホルモンは子供の身長を伸ばすためだけのものではありません。
実は成長ホルモンには筋肉や骨の成長を促進したり、脂肪の分解を助けたりする作用があるのです。
この作用により、丈夫な健康的な身体が作られます。
将来、筋肉が弱く疲れやすい身体になりたくはありませんよね。
骨粗鬆になり骨折のリスクに怯えながら歩きたくはありませんよね。
そして肥満は万病のもとです。
さらに成長ホルモンには代謝を促進させる作用もあります。
体内の老廃物を取り除くほかにも、潤いやハリのある美しい肌を保ってくれます。
精神
休息・免疫と睡眠の役割についてお話してきましたが、最後にもう1つ自律神経についてお話しさせていただきます。
自律神経はその名の通り、脳からの指令とは分離した「自律」して機能する神経です。
交感神経と副交感神経の2つから成ります。
この2つの言葉は聞いたことがある方も多いはずです。
交感神経は覚醒中に優位に働いています。
もう一方の副交感神経は睡眠中に優位に働いています。
この2つの神経は互いに状況に応じて譲り合いながら身体を正常に保ってくれています。
呼吸や体温の調節、ホルモンの分泌などの制御は自律神経の大切な役割です。
しかしこの自律神経が正しく機能するためには睡眠が欠かせません。
睡眠リズムが乱れ自律神経が狂うと、様々な精神障害が現れます。
ストレスやイライラを感じやすいことはありませんか?
日常生活の中では、大小さまざまなストレスやイライラの原因に出くわします。
現代の社会ではこれは避けられないことなので、出くわしてしまうことには問題はありません。
しかし全てのストレスやイライラをため込んでいると、すぐに体調を崩してしまいます。
上手に処理していく必要があるのですが、その役割を担い手こそが自律神経です。
自律神経が正常に働いてくれていると、ストレスやイライラは軽減され、影響が長引くことはありません。
ところが反対に自律神経が整っていなければ、ストレスやイライラの影響はもろに受けることになります。
ストレスやイライラをため込んでしまうとうつ病などの精神病の原因にもなります。
睡眠は内科にかかるような病気の予防だけではありません。
精神病の予防にも重要な存在なのです。
覚醒が睡眠に与える影響
今度は覚醒には睡眠に対してどのような効果をもたらしてくれる役割があるのか見ていきましょう。
食事
覚醒中の行動で最も睡眠に影響を与えるのが食事です。
ホルモンの原料を取り入れる
睡眠中には活動に必要なエネルギーを蓄えたり、免疫力を高めたりする役割がありますが、これら全ての元となるエネルギーは食事によって得られます。
車にガソリンが無ければ走れないのと同様に人間も食事によって栄養補給をしなければ力を発揮できません。
体内に取り入れられた栄養素は分解され、様々なホルモンとなって健康的な身体を作り上げてくれるのです。
生活リズムをつくる
また食事は生活リズムを整えるうえでも重要な役割を果たしています。
1日3食の食事を毎日同じ時間に安定して取ることは、生活習慣を安定させるために欠かせません。
食事のタイミングが遅れたためにその後の全ての行動がいつもより遅れてしまった経験はありませんか?
これは単純に食事という行動が遅くなった分、その後の行動をいつも通り行えば、すべての行動が終了するにはそれだけ時間が遅くなるのは当たり前です。
これに加え、先ほどホルモンの原料は食事からだとお話ししましたが、原料が入ってくる時間が遅れたということはホルモンが生成される時間が遅れることになり、分泌される時間が遅れることになります。
例えば食事の時間帯が遅くなったことで、睡眠を促すホルモンの分泌が遅れると、眠気がいつものように感じられずそこから夜更かしが始まってしまうのです。
運動
運動は身体を鍛えたり体力を上げたりするだけではありません。
運動には睡眠の質を高める効果も示されています。
なおここでの運動とは、スポーツ選手が行っているような激しい運動ではなく、老若男女問わず誰でも楽しみながら出来るようなウォーキングやサイクリングなどの運動をイメージしてください。
適度な疲労感
楽しんで運動を行うことで、適度な疲労感が得られます。
この適度な疲労感は熟睡を促進させてくれます。
いつもよりちょっと体を動かした日にはベッドに横になると一瞬で寝てしまったという経験は誰にでもあることでしょう。
ただし過度な運動は睡眠には逆効果です。
起きている体力が無くなって倒れるように眠り込んでしまうと、睡眠のリズムを乱してしまいます。
仮眠という名で夜の本当の睡眠の質に悪影響を与えてしまうのです。
また過度な運動は睡眠時の身体の休息に割く時間が大量に必要になるという面でも良くありません。
睡眠中他のことに割ける時間が減ってしまうほか、身体の休息自身が終わらなくても明日のパフォーマンスに影響します。
また、それならと睡眠時間を長くして昼まで寝ているのも論外です。
「適度な」運動が大切なのです。
体温を上げる効果
体温は自律神経によりコントロールされているとお話ししましたが、具体的に体温は覚醒中には高く、睡眠中には低くなります。
高くなったり低くなったりすると言ってもごく僅かな変化なのですが、このごく僅かな変化が睡眠の質に大きな影響を与えます。
夏の夜は寝苦しいというイメージがありませんか?
それは就寝時になっても上手く体温が下がらないからです。
少し話がそれてしまいましたが、就寝時に上手に体温を下げるために重要なこと、それは覚醒時に体温をしっかり上げておくことなのです。
体温を上げるには食事を取るという行動も1つの有効なものです。
消化活動により熱エネルギーが発生されますし、温かい食べ物は直接身体を温めてくれます。
でももっと効果的なのが運動です。
運動すると大きなエネルギーが消費され、体温が上昇します。
汗がダラダラ流れるほどの運動をする必要はありません。
汗が出るということは上がりすぎた体温を下げているということなので、やはり「適度な運動」が最も効率的です。
体温も上げるときは上げる、下げるときは下げるとメリハリをつけましょう。
運動の習慣が無い方でも大丈夫
運動の重要性は分かっているつもり。
でも時間が取れなくてなかなか始められない、3日坊主になりそうで心配。
そのような方もご安心ください。
新しい習慣を作ることって難しいですよね。
そんな方におすすめな、家にいながら出来る運動があります。
【ラジオ体操】
それはラジオ体操です。
ラジオ体操は夏休みの朝スタンプを貯めるだけのものではありません。
ラジオ体操には、1つ1つの動きをきちんとこなしていくと、じんわりと汗をかき身体もポカポカしてくるほどの運動量があります。
ラジオ体操の効果についてはこちらの記事でも詳しく取り上げています。
年代問わず多くの人々に長く続けられているのは、ラジオ体操の完成度の高さゆえのものです。
動画サイトなどで簡単に音源も入手可能ですので、ぜひ今日から始めてみましょう。
【ストレッチ】
ラジオ体操の他にはストレッチも効果的です。
特に就寝前にストレッチを行うと、身体がほぐれるともに血流が良くなります。
これにより、身体の老廃物の処理をし、身体と脳の休息を行い、免疫機能を向上させるなど、睡眠中に行われている様々なことの効率を総合的に上げてくれます。
またストレッチのリラックス効果は、副交感神経を優位にするサポートにもなります。
入浴
最後に入浴が睡眠に影響を与えていることについてお話しします。
リラックス効果
入浴と言えば1日の疲れを取り、最もリラックスできる時間ですね。
先ほどストレッチによるリラックスについてお話ししたところですが、リラックスは副交感神経を優位にし眠りを促進させる作用があります。
その他には、ストレスや身体のコリの解消も期待できます。
また良い香りの入浴剤を入れれば、リラックス効果はさらに促進されますね。
体温を上げる効果
入浴すると身体がポカポカと温まります。
運動で体温を上げると寝つきが良くなるとお話ししましたが、入浴にもその効果が期待できます。
入浴で身体を芯から温めることで深い眠りが得られる近道となります。
ただし入浴で身体を温める際には注意すべき点が2つあります。
1つは身体を温める時間帯です。
眠りにつくためには体温を活動中よりも下げる必要があります。
ということは就寝直前の入浴は逆効果。
一度体温を上昇させ、その反動で体温を急激に下げることで深い眠りを狙うには、入浴は就寝の約2時間前が目安となります。
もう1つは湯の温度です。
実は湯の温度は高ければ高いほど良いわけではありません。
意外かもしれませんが、40℃前後が最適な温度です。
冬だと少しぬるいと感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは料理で例えると、強火で表面ばかりを熱して焦がしてしまってはいけないのと同じです。
弱火~中火でじっくりと煮込んだり蒸したりするようなイメージでしょうか?
のぼせてしまっては本末転倒ですが、身体を芯から温めることを意識した入浴が睡眠の質を向上させるうえでは大切です。
生活習慣を整えることが大切
ここまで睡眠が覚醒に与える影響と覚醒が睡眠に与える影響についてそれぞれお話ししてきました。
良い眠りを得るために睡眠だけを直そうとしてもダメ。
また良い日常生活を得るために覚醒だけをなおそうとしてもダメ。
そのような事が分かっていただけましたでしょうか?
この2つは密接に関わりあっているので、全体的な生活習慣を改善していくことが重要なのです。
これはスポーツや音楽・美術などの分野において、技術と知識がどちらも上達に欠かせないのに似ていますね。
知識を持たずに闇雲に練習ばかりしていては、上達しないどころか最悪の場合悪い癖がついてしまいます。
逆に知識が豊富でも実際に練習して身体で習得しなければ、いつまでたっても上達しません。
どちらもバランス良く学んでいくことが最も効率的に上達するための秘訣なのです。
睡眠と覚醒に関しては、上記の事柄を基本に、出来ることから少しずつ改善していきましょう。
今の自分にとっては難しいと感じることは後回しでもOKです。
1つずつ改善していくことで、睡眠と覚醒のリズムはスムーズに回り始めます。
少しずつ好循環のサイクルが出来上がってくるということです。
そうすると、昔は難しく感じていたことも相対的にハードルが下がり、挑戦できるようになります。
充実した日々はこのようにして獲得していくのです。
また1度作った良い習慣は継続することが大事です。
習慣をやめると、再度1から習慣を取り戻すのに苦労するだけでなく、好循環に狂いを生み、睡眠と覚醒のリズムに乱れを生じさせる原因にもなりかねません。
「安定した生活」を大切にしましょう。
まとめ
良質な睡眠が良質な生活習慣をつくり、良質な生活習慣が良質な睡眠をつくる。
これを知っているだけでも日々の過ごし方は変わるはずです。
上手に相乗効果を利用して、充実した日々を送りましょう。
そして充実した人生を送りましょう。