食べ物が喉に詰まったー
よく噛んで食べないとダメだよ~
あなたは自分で1食のうちに何回「噛む」という動作をしているか知っていますか?
昔の人々は1食を1時間近くかけて3000回以上噛んで食べていたようですが、戦前で約1000回、戦後で500回程度とどんどん減少してきています。
もちろん食事の内容や環境は変化しているので、1時間かけて3000回噛んで食べる必要はありません。
しかしよく噛む人の方が肥満になりにくいというデータもあり、噛むことは健康にも重要な役割を果たしていると言えます。
そして噛むことはホルモンの分泌にも影響を与え、睡眠の質を左右することも分かっています。
いつも何気なくやっている噛むという動作。
普段どれだけ意識していますか?
1人で短時間で食事を済ませてしまってはいませんか?
少し意識するだけで睡眠の質、さらには生活の質を上げられるかもしれません。
目次
セロトニンの分泌が促進
そもそもセロトニンとは?
なぜよく噛むと睡眠の質があがるのか、その答えはずばりセロトニンにあります。
よく噛むという行動が眠りの質の向上に繋がるセロトニンの分泌を増やすのです。
セロトニン??
このサイトの他の記事を既に読んでくださった方の中には、セロトニンと睡眠の関係をよくご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
がよく分からない方もいらっしゃると思うので、まずはセロトニンについて簡単に解説したいと思います。
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれているホルモンです。
その名の通り幸福をもたらしてくれる素晴らしいホルモンで、快眠を得るためには必要不可欠です。
なお、このホルモンが直接睡眠に影響するわけではありません。
セロトニンが分泌されるのは日中の時間帯です。
分泌されたセロトニンは夜になるとメラトニンと呼ばれている別のホルモンに変化するのですが、このメラトニンが睡眠を左右します。
メラトニンは別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれているホルモンで、セロトニンを材料に作られます。
夜になると眠気を呼び自然な入眠を促進してくれます。
自然な入眠は、その日の睡眠の質を決める最初の深い眠りの質を上げるために欠かせません。
少し複雑になってしまいましたが、セロトニンが睡眠に重要な役割を果たしていることは理解していただけたでしょうか?
噛めば噛むほどセロトニンが分泌される
それではなぜ「噛む」という動作がセロトニンを増やすのでしょうか?
このサイトでは「光」がセロトニンを増やし眠りを改善するカギであるとよくお話ししています。
もちろん光は最も重要なものなのですが、セロトニンの分泌を促進するには「リズム運動」も有効です。
リズム運動と聞くと階段の上り下りなどをイメージしてしまうかもしれませんが、セロトニンを増やすにはそのようないかにも「運動」なものである必要はありません。
ここでのリズム運動とは、、筋肉を緊張させたり緩めたりといった動作をリズムに合わせて行うことを指します。
もちろん階段の上り下りは消費カロリーも大きくダイエット効果も期待でき、普段の生活の中でエレベーターを階段に変えるだけの取り組みやすいリズム運動です。
ですがもっと身近にあり生活に溶け込んでいるリズム運動、それこそが食事中の「噛む」という動作です。
実際、ガムを20分ほど噛んでいると、脳内のセロトニン量が増えたという実験結果もあります。
ただし、顎が疲れるほど頑張って噛み続けるのは逆効果です。
普段の食事の中で意識して噛むことが大切です。
よく噛むメリットは他にもたくさん!
よく噛むメリットはセロトニンの分泌を促進させるだけに留まりません。
ここではその他の様々なメリットを紹介します。
消化を助ける
まずはそもそもなぜ噛んでから飲み込むのかという話ですが、物理的に飲み込める大きさまで小さくすると同時に消化を助ける目的があります。
食べ物は胃で消化されますが、大きいままだと消化に時間がかかり胃への負担が増えてしまいます。
栄養を効率よく身体に吸収するためにも、良く噛み吸収しやすい状態にしてあげることが大切です。
虫歯予防
噛むという動作は唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促進します。
唾液と言えば飲み込みを助けたり消化を助けたりする働きがありますが、その他にも虫歯を予防する効果も期待できます。
それは唾液の3つの作用が関係しています。
1つ目は洗浄作用です。
歯に挟まった食べ物のカスを洗い流し唾液のコーティングをつくることで口内の菌の繁殖を防ぎます。
2つ目はpHを中性に保つ作用です。
食後は口内が酸性に偏りがちですが、この酸性の状態が長く続くと歯が徐々に溶けていってしまいます。
歯の表面の硬いエナメル質が溶かされると虫歯になってしまいますから、唾液の作用で口内を出来るだけ中性に保つことが大切です。
3つ目は溶けた歯を修復する作用です。
口内が酸性に傾き、歯が溶け始めてしまってもまだ諦めないでください。
唾液には溶けたカルシウムやミネラルを補給し、歯の修復をしてくれる作用があります。
唾液にはこれらのすばらしい働きで虫歯を防ぐという役割があり、その唾液の分泌を促すためにはよく噛むことが重要です。
肥満予防
肥満の原因は過食、すなわち大食いかつ運動不足であることですが、その大食いの原因は何だか知っていますか?
それはたいてい早食いにあります。
早食いは味わって食べるということをしなくなるため味覚が鈍り、味付けが濃くなりがちになります。
また満腹かどうかが分からなくなるため、過食になりやすくなります。
後からお腹が膨れてきて「食べ過ぎた」という経験のある方は注意が必要かもしれません。
そんな早食いを防止するのに有効なのが「よく噛むこと」です。
よく噛むことでゆっくりと味わって食事を楽しむことができます。
すると少量でも満腹感を得られ過食を防ぐことができ、肥満の予防に効果的です。
表情が良くなる
ここからはさらに知られざる咀嚼の秘密に迫っていきたいと思います。
まずはよく噛むと表情が良くなるということについてです。
一見関連が無さそうに思えますが、なぜ噛むと表情が良くなるのでしょうか?
それは、噛むという動作は顔の筋肉を大きく動かすからです。
顎の筋肉をしっかり使って咀嚼を行うと、顔が引き締まり表情良く見えるようになります。
表情筋を積極的に使って食べるだけで若々しく見えるようになるなんて一石二鳥ですね。
ストレス解消
実はセロトニンの役割は睡眠のサポートをしてくれるメラトニンに変わるだけではありません。
幸せホルモンと呼ばれているくらいですから、幸せな日々を送るためのサポートを影からしてくれています。
その1つがストレスの発散です。
ストレスをため込んでしまうと、最悪の場合うつ病にもなりかねません。
うつ病は決して他人ごとではありません。
ストレス社会となった現代では、うつ病は誰にでも起こり得る病気です。
日常生活で少なからず受けるストレスを上手に発散することが重要なのですが、よく噛むことはそのストレス対策の1つとして効果的です。
認知症予防
噛むという行動は脳を刺激し、活性化させます。
というのも食べるという動作は、五感をフルに活用します。
味覚はもちろん、料理の臭いを感じる嗅覚、噛む時に出る音を感じる聴覚、舌触りという意味では触覚も含まれ、視覚でおいしそうだと感じます。
噛むという行動はもちろん、五感でも刺激を与えまくりな食事を見直して認知症を防ぎましょう。
まだ若いから認知症なんて無縁だと思ったそこのあなた、良く噛んで脳を活性化は記憶力アップにも繋がっています。
家族みんなでしっかり噛んで食べることが大切です。
歯を守る
現代人の咀嚼回数が昔の人々に比べて減少しているということをどこかで聞いたことはありますか?
核家族化、共働きの増加などで一家団らんの食事の時間を取れる家庭が減少しています。
味わうことを忘れた現代人は、食事を簡単に短時間で済ませるようになり、1食の咀嚼回数が大きく低下してしまいました。
足が悪くなり歩けなくなると寝たきりの生活を余儀なくされ、健康的な毎日を送ることが難しくなります。
同様に歯を失うといろいろなおいしいものを食べられなくなってしまいます。
栄養ある食べ物を食べられなくなってしまいます。
全身の健康は歯の健康からと言われています。
80歳で20本の歯を残そうという「8020運動」も有名ですね。
このように歯は長生きの必須条件なのですが、それでは大切な自分の歯を守るためにはどうすればよいのか。
それはずばり、よく噛むことです!
こまめな歯磨きやうがいも効果的かもしれませんが、人間には唾液という殺菌液が備わっています。
唾液の分泌はよく噛むことで促進できるのでしたよね。
よく噛んでいると、それだけ歯茎も強く育ちます。
歯茎が弱っていると硬い食べ物が食べられなってしまうので、その面からも日頃からよく噛む習慣は重要だと言えます。
効果的な食べ物とは?
ここまでよく噛むことで得られる様々なメリットについてお話ししてきました。
ここからは話を睡眠との関係に戻しましょう。
どうせなら同じ食べるのでも睡眠によりプラスに働く効果的な食べ物を食べたいですよね。
ということで快眠に効果的な食べ物、つまりセロトニンをたくさん分泌するための食べ物について探っていきます。
セロトニンの分泌を促進させるためにはよく噛むことが重要ですが、よく噛めばそれだけで勝手にセロトニンが発生するというわけではありません。
やはりセロトニンにも材料が必要です。
セロトニンの材料はトリプトファンというアミノ酸です。
トリプトファンはたんぱく質に多く含まれています。
たんぱく質を多く含む食べ物と言えば、米や肉、乳製品などに多く含まれています。
またトリプトファンを効率よく体内に吸収するのに役立つのが糖質です。
バナナは多くのトリプトファンに加え、糖質も一緒に摂取できるのでおすすめの食べ物の1つです。
またよく噛むためには、食べ物が柔らかすぎると顎の筋肉を使ってしっかりと噛むことができず、脳への刺激も少ないためよくありません。
反対に硬すぎる食べ物は顎が疲れてしまいセロトニンの分泌に逆効果なのでこれもNGです。
食材選びと同時に調理にも気を配り、セロトニンを効率よく増やしましょう。
まとめ
人は毎日必ず食べるという行動をしており、噛むという動作をしています。
新しく習慣を作り継続することは難しいかもしれませんが、既にやっていることをちょっと意識するだけで生活の質が変わるなんて、実践しない理由が見つかりませんね。
噛むという動作が与える影響がとても大きいことは知っていただけましたか?
毎日の噛む習慣が人生を変えるといっても過言ではありません。
忙しい生活を送っていらっしゃるかもしれませんが、食事の時間くらいはゆっくりと楽しんでおいしいものを頂きましょう。