がんになることもあるって聞くし
正しく行えば極度の心配は不要だから、そのやり方も解説するね
紫外線の浴びすぎは身体に害です。
一方で、日光は生物の活動に必要不可欠なものです。
光合成をしない人間も例外ではありません。
この記事では、日光浴のメリットを、睡眠への効果に着目してお伝えします。
またメリットだけでなく、危険性と、安全な行い方についても解説しています。
日光浴を正しく行い、睡眠の質を高めましょう。
目次
日光浴が睡眠にもたらす効果
寝つきが良くなる
日光浴
↓
セロトニン増加
↓
メラトニン増加
↓
寝つきが良くなる
太陽の光を浴びると、セロトニンというホルモンの分泌が活性化されます。
日光浴の効果は、セロトニンの存在なしには語れません。
セロトニンについて、簡単に説明します。
セロトニンは、幸福感をもたらしてくれたり感情をコントロールしてくれるホルモンです。
つまり、精神面で大きな役割を担っています。
一方セロトニンが不足すると、ネガティブ思考になりやすくなります。
するとストレスを溜め込みやすくなったり、うつ病を発症することもあります。
元気に毎日の生活が送れているのは、セロトニンのおかげなのですね。
ところでセロトニンは、夜にはメラトニンという別のホルモンの原料となります。
メラトニンは、眠気を引き起こし寝つきを良くしてくれるホルモンです。
睡眠薬の成分としても用いられています。
ここまでの話をまとめます。
日光浴をすると夜の寝つきが良くなることには、2つのホルモンが深く関係しています。
それはセロトニンとメラトニンです。
太陽の光を浴びると、セロトニンの分泌が活性化されます。
セロトニンは、夜にはメラトニンを生成するための原料になります。
メラトニンは眠気を引き起こし、寝つきを良くしてくれます。
熟睡できる
太陽の光
↓
血流アップ
↓
体温の調節機能が向上
↓
熟睡できる
日光浴をすると、身体が温まり、血流が良くなります。
実は、体温や血流は、睡眠と深い関係があります。
そのことについてお話しします。
人の体温は、1日の生活の中でわずかに変動しています。
具体的には、活動時に高くなり、睡眠時に低くなります。
夏の夜、なかなか寝付けないことはありませんか?
それは、気温のせいで体温が上手く下げられないからです。
逆に冬の朝、なかなか起きられないことはありませんか?
それは、体温が上手く上げられないからです。
熟睡するためには、体温のコントロールが1つの鍵となります。
と言っても、人間には体温調節機能が備わっています。
この機能のおかげで、通常は適切な体温に自動的にコントロールされています。
なので、体温を上げようとか下げようとか意識する必要はありません。
しかし、完全に任せきりにしても良いわけではありません。
体温のコントロールは、血液が重要な役割を担っています。
熱は血液によって全身に運ばれ、必要に応じて身体の表面から放散されます。
ですから血流が悪くなると、体温調節機能は上手く働きません。
結果的に、夜になっても体温が下がらず、睡眠の質が低下してしまいます。
ここまでの話をまとめます。
日光浴をすると、血流が良くなります。
血流が良くなることで、体温調節機能は適切に働くことができます。
睡眠中には睡眠に適した体温にコントロールされることで、質の高い睡眠が得られます。
睡眠をコントロールできる
日光浴が睡眠にもたらす効果として、以下の2つを紹介しました。
- ホルモンの作用による寝つきの向上
- 体温コントロールによる睡眠の質の向上
いずれも日光浴をすることで、夜になると身体は眠りに適した状態になるという共通点があります。
睡眠のコントロールについてお話しする前に、まずは睡眠モードと覚醒モードについて説明します。
キーワードは体内時計です。
体内時計は、人間に限らず、全ての生物が持っている機能です。
体内時計が存在するおかげで、毎日同じ時刻にお腹が空いたり眠たくなったり、はたまた目覚めたりすることができます。
ですから、安定した生活を送るためには、この体内時計を正常に保つことが大切です。
が実際はそう上手くはいきませんよね。
それは、体内時計がちょうど24時間周期ではないからです。
個人差があるので、偶然24時間ぴったりな人もいるかもしれません。
ですが大抵の人は、1周期が24時間よりも長いと言われています。
夜型生活になりやすいのは、これが原因の1つです。
生活習慣を安定させるためには、体内時計のずれをこまめに修正する必要があります。
その役割を担っているものこそが、太陽の光です。
実は人間の体内では、太陽の光を浴びた時刻を基準に、メラトニンを増やしたり体温を下げたりすることが行われています。
実際にはもっと多くの事がらが複雑に影響し合っています。
しかし太陽の光が体内時計を操作し、睡眠モードや覚醒モードの切り替わりに大きく影響していることは事実です。
日光浴で睡眠をコントロールするという話に戻ります。
以上より、太陽の光を浴びた時間帯によって、身体が睡眠モードに切り替わる時間帯は左右されます。
従って、日光浴を午前中のうちに行うことで、早寝早起きの生活を送ることができます。
逆に午後になってから行うことで、ゆったりとした生活を送ることができます。
このように、日光浴を行うタイミングで睡眠の習慣、さらには生活リズムをコントロールすることができます。
日光浴の危険性
肌が老化する
紫外線(UV-A)は肌の奥深くにダメージを蓄積させ、シミ・しわの原因に
日光浴のリスクとして、何が考えられますか?
ほとんどの方が想像されるのが、シミやしわなどの肌への悪影響ではないでしょうか?
ご存知の通り、太陽光には多くの紫外線が含まれています。
紫外線は、UV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分類できます。
UV-Aの方が波長が長く、UV-Cの方が波長が短い光です。
言い換えれば、UV-Aは可視光により近く、UV-CはX線により近い光です。
そう言われると、危険なのはX線に近いUV-Cだと思われるかもしれません。
確かにUV-Cはもっとも危険ですが、地球上には到達しないので、肌へ影響することはありません。
主にシミやしわの原因となっているのはUV-Aです。
実は地球上に降り注いでいる紫外線の多くは、UV-Aです。
確かに力は弱いのですが、肌の奥深くまで入り込み、じわじわと肌を老化させていきます。
若々しい肌を長く保つためには、日光浴をする際には、紫外線の浴びすぎに注意しなければなりません。
皮膚がんを発症
紫外線(UV-B)はDNAを変異させ、皮膚がんを引き起こすことがある
紫外線が原因で、皮膚がんを発症することもあります。
主な原因となっているのが、UV-Bです。
UV-Bは、UV-Aに比べると、地球上に降り注いでいる量はわずかです。
ですがUV-Cにより近く、肌へのダメージが大きいので、軽視はできません。
例えば、長年の蓄積ではなく、すぐに表れる日焼けの原因となっているのはUV-Bです。
そしてUV-Bの恐ろしいのが、細胞内にあるDNAに到達し、直接ダメージを与えることです。
細胞は偉いので、ほとんどの場合は、DNAにダメージを受けても、修復したり、死んで後世にダメージを引き継がないようにしたりしています。
しかし修復に失敗してしまい、それが変異して発がん性を持ってしまうことが、ごくまれにあります。
UV-AとUV-Bに共通して言えることですが、肌のバリアや修復機能がきちんと働く健康的な状態を保ち、必要以上の紫外線は浴びないようにすることが大切です。
逆にこれらができていれば、全く浴びないようにしようとか、極度に心配する必要はありません。
熱中症
身体に異変を感じてからでは手遅れです
日光浴の習慣で、暑さに負けない身体を作りましょう
紫外線以外の危険性としては、熱中症が挙げられます。
当たり前ですが、真夏の日中の日光浴はNGです。
気をつけて頂きたいのは、大丈夫だと思っていても、熱中症になることがあるということです。
特に身体が暑さに慣れていない春や、日中と比べてマシだと勘違いしやすい夏の朝夕は要注意です。
若い方でも亡くなるのが、熱中症の怖いところです。
普段から日光浴をしていると、暑さに慣れて、これくらいなら大丈夫、自分は暑さに強いと勘違いしてしまう恐れがあります。
やばいと感じてからでは、既に遅いです。
睡眠補給やこまめな休憩を怠らないことが大切です。
日光浴には暑さに慣れて勘違いしてしまう恐れがあると言いましたが、逆に捉えれば、日光浴で暑さに負けない強い身体を作ることができます。
そのためにも、この後お話しする安全な方法で日光浴を実践するようにしましょう。
安全な日光浴のやり方
時代に合わせた日光浴
地球環境の変化で、日光浴も変化??
日光浴は睡眠の質の向上にも効果的ですが、間違った浴び方をしていると、危険性の方が大きくなってしまいます。
リスクの多くは紫外線によるものです。
日光浴の危険性についてお話しした中でも、熱中症を除く残り2つの危険性については、紫外線が関係していました。
太陽の光の中には、多くの紫外線が含まれています。
紫外線を浴びすぎると、先ほどお話ししたように身体に害を及ぼすリスクが高まります。
ところで、昔はメリットの方が大きかった日光浴、近年紫外線による悪影響の方が注目されているのはなぜでしょうか?
この変化の最も大きな要因は、オゾン層の破壊です。
オゾン層の破壊により、紫外線はオゾン層によって吸収されることなく、地上に降り注ぐようになりました。
実際1998年には、母子手帳から日光浴を勧める言葉が消えています。
ですから日光浴は地球環境の変化に合わせて、その時代に最適な方法で行うことが大切です。
おすすめの浴び方
- 時間
- 1~2日に1度
- 15分~30分程度
- 時間帯
- 朝がおすすめ
- 日中は避けよう
- 場所
- 屋外の日向
- ただし夏は日陰で
- 部位
- 顔
- 手足
まずは時間についてです。
15分程度でも、効果は十分にあります。
毎日行っても問題ありませんが、控えめにしたい方は2日に1度の頻度でも大丈夫です。
次に時間帯についてです。
日中は日差しが強いので、お勧めしません。
前半で睡眠のコントロールについてお話ししましたが、光を浴びる時間帯が遅いと、睡眠モードに切り替わるのも遅くなり、結果的に夜型生活に傾いてしまいます。
ですから、日光浴のおすすめは朝です。
太陽の光には気分を高めてくれる効果もありますから、朝に日光浴をして1日元気に活動しましょう。
続いて場所についてです。
日光浴の効果を最大限に受けるためには、屋外の日向がおすすめです。
直射日光は危険性が高いのでは?と不安になるかもしれませんが、今お話しした時間や時間帯を守った中で行えば、過剰な心配は必要ありません。
最後に光を浴びる身体の部位についてです。
全身で日光浴をしても構いませんが、日焼けが心配な方は顔と手足だけの日光浴でもOKです。
室内(窓越し)でもOK?
夏を除いて日光浴は日向がお勧めだと言いましたが、日陰や室内がダメな訳ではありません。
光は反射しますので、日陰でも日光浴の効果は得られます。
とくに赤ちゃんや高齢者のように肌の機能が弱い方の場合、積極的な日向での日光浴は控えた方が良いかもしれません。
注意点
- 皮膚が赤くなっていない?
- 目に直射日光はNG
- 皮膚が荒れたりかゆくなる場合は控えて
日光浴の時間について、15分~30分とお話ししましたが、紫外線の吸収のしやすさには個人差があります。
日光浴の後、皮膚が赤くなっているならば、それは浴びすぎです。
肌がダメージを受けている証拠なので、皮膚がんなどのリスクを減らすためにも、もう少し控えめにしましょう。
また顔に光を浴びることをおすすめしましたが、目は例外です。
目に紫外線を浴びすぎると、視力低下や目の病気を引き起こす恐れがあります。
サングラスを着用するなど、対策は万全に行いましょう。
最後に、皮膚が荒れたりかゆくなったりした場合は、それ以上日光浴をしてはいけません。
光線過敏症という、紫外線の影響を受けやすい肌なのかもしれません。
早めに病院を受診し、原因を突き止め、日光浴は医師の指示に従って行うようにしましょう。
まとめ
人は昔から太陽を中心に生活をしてきました。
日光を極度に嫌う現代人も多いですが、太陽は健康的な生活を送るためには決して欠かせません。
なかでも睡眠のリズムは日の出・日の入りと密接に関わっています。
日光浴は、適切に行えば身体に大きな害を及ぼす心配はありません。
ストレスの軽減や集中力の向上なども期待できますから、運動習慣に取り入れるなどして、上手に付き合っていけると良いですね。