レム睡眠よりノンレム睡眠の方が、深くて良い眠りなの?
- レム睡眠とノンレム睡眠の違い
- それぞれの眠りの特徴
睡眠を大切にして、充実した人生を送りましょう。
目次
まずは表で比較
レム睡眠 | ノンレム睡眠 | |
---|---|---|
脳の状態 | 活発 | 休息 |
身体(筋肉)の状態 | 弛緩 | 少し緊張 |
主に休まっているのは? | 身体 | 脳 |
自律神経 | 不安定 | 副交感神経が優位 |
呼吸 | 不安定・ノンレム睡眠時より速い | 安定・遅い |
心拍 | 不安定・ノンレム睡眠時より速い | 安定・遅い |
血圧 | ノンレム睡眠時より高い | 低い |
体温 | ノンレム睡眠時より高い | 低い |
眼球 | 活発に動く | ほぼ動かない |
夢 | よく見る(覚えている) | あまり見ない(覚えていない) |
目覚め | 良い | 悪い |
レム睡眠とノンレム睡眠の違いとは?
レム睡眠は身体の休息、ノンレム睡眠は脳の休息
レム睡眠中は、主に身体が休まっています。
具体的に言うと、普段は脳から身体へと伝わっている信号が、レム睡眠の間は遮断されています。
そのため身体の筋肉は弛緩し、だらんとした状態になります。
逆にノンレム睡眠中は、主に脳が休まっています。
この時は身体へと信号が伝達されているため、寝返りを打てるようになります。
寝返りには、血流の滞りや寝具の蒸れを防止する役割があります。
これにより、脳は効率的に休まることができます。
レム睡眠は脳を造る、ノンレム睡眠は脳を休める
レム睡眠は身体の休息だとお話ししました。
それは身体へ消費するエネルギーを減らし、そのぶん脳を積極的に働かせるために行われています。
睡眠と言うと、脳も身体も休まっているイメージだったかもしれません。
ですが実際は、レム睡眠中の脳は覚醒時よりもむしろ活発に働いています。
レム睡眠中に脳が具体的に行っていることは、記憶の整理です。
必要な情報を保存し、不要な情報を消去します。
簡単に言えば脳のアップデートですね。
ですから、レム睡眠は脳を造る眠りだと言えます。
逆にノンレム睡眠になると、脳は休まります。
ノンレム睡眠の主な役割は、細胞の修復です。
一般的な「睡眠」のイメージに近いかもしれません。
定期的にクールダウンさせてあげることで、脳は回復し、高い知性を保つことができています。
ですから、ノンレム睡眠は脳を休める眠りなのです。
レム睡眠は浅い睡眠、ノンレム睡眠は深い睡眠
よくレム睡眠が浅い睡眠で、ノンレム睡眠が深い睡眠だと言われることがあります。
睡眠周期の概略のグラフをご覧ください。
【睡眠周期の概略】
確かにグラフを見ると、レム睡眠の方が覚醒状態に近く、浅い睡眠であることは間違いありません。
しかし、「浅い睡眠=質の悪い睡眠」ではありません。
その証拠に、レム睡眠には記憶を整理するという重要な役割があることをお話ししました。
レム睡眠とノンレム睡眠にはそれぞれの役割があり、どちらも欠かせないものなのです。
特に赤ちゃんは、レム睡眠の割合が睡眠全体の約50%にもなります。
成人を過ぎると20%ほどになることを考えると、とても多いですね。
これは、赤ちゃんは人生の中で脳を造る段階にあるからです。
まとめると以下のようになります。
ノンレム睡眠=深い睡眠
ノンレム睡眠(深い睡眠)=質の良い睡眠
レム睡眠の特徴
記憶の整理
レム睡眠中、脳は記憶の整理を行うために、積極的に働いています。
実際、この時の脳波は覚醒時に近い状態となっています。
ところで、脳は活発ですが、眠っているため身体を制御することはできません。
もし脳からの信号がそのまま身体へ伝わってしまうと、手や足が勝手に動いてしまうかもしれません。
それを防ぐために、レム睡眠中は身体への神経を遮断しています。
そしてレム睡眠からノンレム睡眠や覚醒状態に移行するときになると、この遮断を解除します。
ちなみに、神経の遮断を解く前に覚醒してしまうと、金縛りと呼ばれている状態になります。
夢を見る
夢は、レム睡眠の時に見ていると言われています。
夢を見ている時、まぶたの内側では実際に目がキョロキョロと動いています。
それは、記憶の整理中に発生した信号が視覚を刺激してしまうからです。
レム睡眠中は身体への信号を遮断しているとお話ししましたが、視覚への信号は遮断できなかったようです。
従って、夢は過去の記憶から生成されていると考えることができます。
ただし、過去の様々な記憶の断片がごちゃ混ぜになって視覚を刺激してしまうので、夢の中では現実にはあり得ないことが起こってしまいます。
なおレム睡眠と夢の関連については、研究でも確かめられています。
ある研究では、レム睡眠のタイミングで被験者を起こすと、ノンレム睡眠のタイミングで起こした時よりも高い確率で夢を見ていたと言うそうです。
ちなみに、レム睡眠中に目がキョロキョロと動く現象は、急速眼球運動と呼ばれています。
英語ではRapid Eye Movementと言います。
この頭文字を取ったものが、レム(REM)睡眠という名前の由来になっています。
筋肉の弛緩
何度も同じことを言ってしまっていますが、レム睡眠時は身体への神経が遮断されています。
従って筋肉は緩み、全身の力は抜けています。
外から見ると、寝返りを打ったりしている状態ではなく、だらんとして寝ている状態ですね。
先ほど、レム睡眠が浅い睡眠で、ノンレム睡眠が深い睡眠だというお話しをしました。
寝返りを打っている状態とだらんとしている状態、一見すると、だらんとしている状態の方が深い睡眠に感じます。
しかし実際は、「だらんとしている状態=レム睡眠=浅い睡眠」です。
逆に「寝返りを打っている状態=ノンレム睡眠=深い睡眠」です。
意外ですよね。
ノンレム睡眠の特徴
副交感神経が優位になる
睡眠の役割と言えば、脳や身体の休息、そして回復がまず想像できるのではないでしょうか?
これらは、主にノンレム睡眠時に行われています。
余談ですが、そもそもノンレム睡眠という名前は「レム睡眠ではない睡眠」という意味ですよね。
実はレム睡眠が発見されたのは、割と最近のことです。
ですから、それまでは「睡眠=ノンレム睡眠」でした。
レム睡眠という新たな睡眠の状態が見つかったことで、区別するためにノンレム睡眠と付けられました。
話を戻します。
ノンレム睡眠中は、主に副交感神経が優位になっています。
副交感神経が優位になることで、呼吸・血圧・脈拍は遅くなります。
ゆったりとした呼吸ですやすやと眠っているような、まさに深い眠りのイメージですね。
呼吸・血圧・脈拍がゆっくりになることで、身体の活動は抑制され、体温が低下します。
するとエネルギーの消費は少なく済み、身体を効率よく回復させられます。
ところで、深い眠りのタイミングで起こされると、寝起きは悪いですよね。
それは急に起こされても血圧や体温がまだ低く、活動に適した状態にはなっていないからです。
4段階の深さ
先ほどのグラフをもう一度ご覧ください。
ノンレム睡眠は、さらに4段階の深さに分けられます。
4つのステージで行われていることに大きな違いはありませんが、眠りが深い方が脳や身体の回復は速くなります。
つまり眠りが深いということは、睡眠の質が高いということを意味しています。
と言っても、ステージ1のノンレム睡眠が悪いわけではありません。
先ほど、眠りの深いタイミングで起こされると、寝起きが悪くなってしまうとお話ししました。
それを防ぐためには、睡眠状態から覚醒状態へのスムーズな移行が欠かせません。
グラフからも分かるように、睡眠の後半、すなわち明け方にはステージ1やステージ2の睡眠の割合が増加します。
それは、気持ちよく目覚めるための準備をしているからです。
成長ホルモンの分泌
成長ホルモンは、ノンレム睡眠時に多く分泌されます。
「寝る子は育つ」のホルモンですから、睡眠時に分泌が促進されることには納得いただけるはずです。
ところで成長ホルモンの役割は、子供の成長だけではありません。
大人にとっても欠かせない、大切なホルモンです。
というのも、成長ホルモンには新陳代謝を促進させる役割があります。
新陳代謝が良いと、このようなメリットがあります。
- 老化の防止
- 美肌の維持
- ダイエット
また成長ホルモンは、免疫力とも深い関係があります。
もしも成長ホルモンの働きによる代謝が衰えてしまうと、傷ついた細胞の修復には時間がかかってしまいます。
ウイルスにとっては絶好の攻撃チャンスです。
睡眠不足だと風邪をひきやすくなると言われていますが、それにはこのような理由があったのですね。
まとめ
レム睡眠とノンレム睡眠には、それぞれに重要な役割があります。
しかし、それらは別々に得られるものではありません。
レム睡眠とノンレム睡眠の両方がバランスよく取れて初めて、全体として質の高い眠りが得られます。
ですから、それぞれの役割を知っておくことは大切ですが、普段は細かいことを気にする必要はありません。
ぐっすりと眠り、朝気持ちよく目覚められることを大切にしましょう。